お子さんが「溶連菌」って診断されたら薬は必ず最後まで飲みましょう!
こんにちは。
薬剤師ブロガーの中川(@nakagawahitoshi)です。
お子さんが発熱やのどの痛みでお医者さんに診てもらうと
溶連菌ですね。抗生剤出しときます。
って言われることがあります。
- 「溶連菌」ってふつうの風邪じゃないの?
- 風邪って抗生剤飲んでも効かないって聞いたことあるけど?
- 熱が下がったら抗生剤はやめていいの?
- 抗生剤がとてもよく効きます。
- 抗生剤は5~10日程度長めに出ますが基本的には必ず飲み切ってください。
- 熱やのどの痛みは長くても2~3日でおさまることが多いです。
- 2週間後くらいにまた受診してと言われることがあります。治って元気でも必ず診てもらってください。
- 水分補給はしっかりとりましょう。のどが超痛いのでのど越しの良い食事を。
目次
「溶連菌」ってこんな病気
小児科さんで言われるいわゆる溶連菌って「A 群溶血性レンサ球菌咽いん頭炎」という長い名前の病気です。
こういった特徴があります。
- A群溶血性レンサ球菌というバイ菌がのどで悪さをしている。
- 潜伏期間は2~5日間。
- 接触感染・飛沫感染でうつる。くしゃみや咳などの飛沫が手についてしまったりして口から入ることでうつります。
- 子どもに多いですが大人もなります。何度かかかることもあります。
- 扁桃腺やのどのはれや痛み
- 頚部リンパ節のはれや痛み(のどのリンパのグリグリのところ)
- 口の中の点状の内出血
- 舌がイチゴみたいにはれることがある。
- 発疹が出ることがある。
- 熱や鼻水が出ることもある。咳はあまり出ないことが多いようです。
- 治ってからも急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの病気を引き起こすことがあります。
インフルエンザやアデノウイルスなどと違って細菌の感染症なので抗生剤でやっつけることができます。
お医者さんで迅速検査ができるので10分くらいですぐ溶連菌かどうかわかります。
参考:「東京都感染症マニュアル2018」について 東京都福祉保健局
抗生剤(抗生物質)が長く出ます。必ず飲み切ってください。
「溶連菌感染症」はバイ菌がのどで増えて悪さをしている状態。
菌をやっつける薬は抗生剤(抗生物質ともいいます)です。
溶連菌には抗生剤がとてもよく効くのでふつうは長くても2~3日程度で熱やのどの痛みもだいぶ楽になるんですよ。
でもこの2~3日目で薬をやめちゃいけないんですねえ。
溶連菌感染症は症状自体は早めによくなります。
でも菌をきちんとやっつけて心臓などに影響を残さないために出された薬は全部飲まないといけません。
溶連菌だと抗生剤が5日とか10日とか長めに出ますが、途中で辞めないで必ず飲みきりましょう。
服用開始から大体2~3日で元気になりますが全部飲み切らないとぶり返すこともありますよ。
…服薬指導でこれだけ言ってもたまに親の自己判断でやめてまた熱出す子がいます。ちゃんと抗生剤飲み終えてね。
— 中川ひとし@パパブロガー (@nakagawahitoshi) 2018年6月30日
抗生剤の副作用は下痢が多いが薬疹も起きることがあるため体調変化に注意して。
こういう薬が処方されることが多いですね。
それぞれ説明していきます。
アモキシシリン
パセトシン、サワシリン、ワイドシリンなどの名前で処方されることが多い薬です。
この薬だと10日~2週間くらい長めに出ることが多いですね。必ず飲んでくださいよ!
味はそんなに苦いわけではないんですが独特の変な風味があります。
飲むときに溶かすものは大体なんでも大丈夫です。ジュースやプリン、ゼリーなどでもOK!
でも粉だと量がかなり多いはずなので飲み残しがないようにしてください。
アモキシシリンはペニシリン系という薬です。
ごくごくたまにペニシリン系の薬で薬疹(皮膚の副作用)が出ることがあります。
最初に飲んですぐブツブツが出る、なんてのはわかりやすいですが、飲み始めて1週間くらいしてから発疹が出始めることもあるんです。
そういった場合はすぐ処方医か薬局に連絡してください。
お薬手帳は普段から必ず使用しておいて、ペニシリン系の薬が初めてかどうかは確認してもらってくださいね。
ほかによく聞く副作用は下痢が多いです。
少しおなか緩いくらいなら大丈夫ですが、水便になるようなひどい下痢の場合は処方医に相談してください。
下痢を防ぐために抗生剤と一緒に整腸剤(おなかの調子を整える薬)が一緒に処方されることも多いですね。
セフェム系抗生剤
ペニシリン系とは別の抗生剤です。
セフジトレンピボキシル、セフカペンピボキシル、セフテラムピボキシルなど。
アモキシシリンよりは効率的に効くのでこちらは5日程度の処方のことが多いです。
処方する先生によっては1週間くらいのこともあります。
やっぱり全部飲み切ることが必要ですからね。
副作用としては下痢があることがあります。
あとこの辺の「ピボキシル」っていうのがついている薬は注意したい副作用があります。
とくに小さいお子さんで低血糖が起きることがあるんです。
薬を飲み始めてから
- 嘔吐
- けいれん
- 意識がもうろうとしている
などあるようならお医者さんに連絡してください。
マクロライド系抗生剤・クリンダマイシン
クラリスロマイシン・アジスロマイシン・クリンダマイシンなどですね。
この系統の薬はあんまり使われません。
ペニシリン系やセフェム系の薬にアレルギーがあって飲めないときなんかだけですね。
クラリスロマイシン・クリンダマイシンは10日程度出ることが多いです。
アジスロマイシンは通常3日だけ飲めばいい薬です。
副作用は下痢が起きることがあります。
ほかの抗生剤に比べてマクロライド系抗生剤は苦いんですよ。あんまり飲みやすくないのです。
オレンジジュースなど酸味のあるものに混ぜるとますます苦くなるので一緒に飲むのは避けてください。
お子さんに薬を飲ませる方法はこちらから
のども痛いので薬は嫌がるかもしれません。
薬の飲み方については別に記事を書いています。ご参考まで。
⇒薬を飲まない子供が飲めるようになる方法を薬剤師が教えます
腎臓や心臓に影響がある場合があるので再診指示があったら必ず診てもらってください。
お医者さんによっては2週間~1か月後くらいにまた受診してといわれることがあります。
2週間後なんてもうすっかり元気になってますがなんでまた診てもらわないといけないんでしょうね。
これは溶連菌感染症が熱やのどが治ってからも、関節炎や心炎などを起こしてしまうリウマチ熱や腎臓の炎症を引き起こすことがあるためです。
また診察に来てくださいとお医者さんが言うのはこういった腎臓やリウマチ熱の影響がないかどうかの検査をするためなんですね。
元気になっていても診てもらってください。
熱がまた出てきている、瞼のむくみや血尿などある場合はすぐ受診を。
水分をしっかりとりましょう。食事はのどに刺激のないものを。
熱が出ているときは水分をしっかりとってゆっくり休まないといけません。
溶連菌ではのどの痛みがひどくて食事がとりにくいことも多いのです。
おかゆやうどんなどのど越しの良いものをあげてください。
水分はスポーツドリンクでも悪くはないんですが、できればOS-1(オーエスワン)などの「経口補水液」を飲むようにしてください。
経口補水液はジュースではないので1日に飲める量が決まっています。
飲みすぎちゃうと塩分を取りすぎたりしてよくないので気を付けて!
大人にうつることは少ない。兄弟は注意を。
発熱があったりのどが痛いうちは周りにうつしてしまうことがあります。
抗生剤を飲み始めると24時間以内に周りにうつすことはなくなります。
大人がお子さんからもらってしまうことはあまりありません。
兄弟がいる場合は注意してください。なるべく別に遊んだほうがいいかも。
お子さんが溶連菌になった時の対応まとめ
あらためてお子さんが溶連菌ですって言われた時の対応をまとめます。
- 抗生剤は5~10日程度長めに出ますが基本的には必ず飲み切ってください。
- 熱やのどの痛みは長くても2~3日でおさまることが多いです。
- 2週間後くらいにまた受診してと言われることがあります。治って元気でも必ず診てもらってください。
- 水分補給はしっかりとりましょう。のどが超痛くなるのでのどごしの良い食事を。
熱が高かったりのどがすごく痛くなったりつらいですが、抗生剤がよく効くので早めに楽になるはずです。
薬は出された分しっかり飲み切ってくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考:「東京都感染症マニュアル2018」について 東京都福祉保健局
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